間脳下垂体疾患 Pituitary Disease
スタッフ
坂田 清彦
間脳下垂体疾患について
当科では、間脳・下垂体腫瘍の外科治療(手術)を行っています。
間脳・下垂体とは?
「間脳・下垂体」は脳の一部分を示す解剖学的な呼び名で、「間脳」は水分代謝・体温調節・食欲・睡眠・意識などの調節を、「下垂体」は全身の内分泌(ホルモン)の調節を行う器官です。どちらも脳のほぼ中心部に存在し周囲を様々な組織・器官で囲まれているため、「間脳・下垂体」には様々な疾患が発病し、また多彩な症状が出現します。
間脳・下垂体腫瘍とは?
腫瘍とは、いわゆる「できもの」のことで「新生物」とも呼ばれます。「間脳・下垂体腫瘍」とは脳腫瘍の中の1つのグループで、ここに発生する腫瘍を大きくまとめた呼び名です。脳腫瘍の発生頻度はおおよそ1年間に10万人につき10-20人で、間脳・下垂体腫瘍はその中の2-3割程度と言われています。間脳・下垂体腫瘍の中で最も多いのは「下垂体腺腫」とよばれる良性の腫瘍で、その他に「頭蓋咽頭腫」・「ラトケのう胞」・「胚細胞腫」・「髄膜腫」・「神経膠腫」などの腫瘍が発生します。
どの間脳・下垂体腫瘍でも、その発生する場所や大きさによって、ホルモンや脳神経の症状が出現することがあります(まれに、症状を伴わない腫瘍が偶然に発見されることもあります)。よく見られる症状として、視力が落ちる・視野が狭くなる・ものが二重に見えるといった「眼の症状」や、不妊・月経不順・手足や顔つきの変化・肥満・多毛・低身長・疲れ易い・多尿や頻尿などの「ホルモンの症状」が挙げられます。
間脳・下垂体腫瘍の治療とは?
一般的に、腫瘍に対する治療法は大きく3つに分けられます。1つは「手術」、もう1つは「放射線治療」、そして「薬物治療」です。医療が進んだ現代では、それぞれの治療法はさらに細かく分けられています。また、残念ながら、どれも「100%安全で100%効果が見込める」といった治療法ではありません。このため、どの治療法が良いかどうかは、その腫瘍の特徴や患者さんの状態によって異なります。また、どれか1つの治療法だけでなく、複数の治療を行うこともあります。
間脳・下垂体腫瘍でも同じように、これら3つの方法の中から最も適している治療法を選択します。最も多い「下垂体腺腫」の場合、最初は手術を行うことも多いのですが全てではありません。中にはお薬が効くタイプや、すぐには手術を必要としないこともあります。また、手術後に放射線やお薬による治療を追加することもあります。
間脳・下垂体疾患を疑ったら?
もし、間脳・下垂体の疾患に当てはまる症状に気づかれた場合、まずは各医療機関を受診して下さい。間脳・下垂体疾患の多くは緊急の治療を必要としませんので、検査を行ってしっかりと診断することが大事です。
「眼の症状」の場合は、視力や視野などを測定する検査が必要です。これは眼科が専門です。
「ホルモンの症状」の場合は、血液検査を行います。ただし、専門的な検査が必要なことが多いので、結果が揃うまでに1週間程度かかることもあります。また、負荷試験(特殊な薬剤を与えた後に、その反応を見る方法)を行うときには、検査のために入院することもあります。これは内分泌代謝内科が専門です。
「画像の検査」は、頭部MRI検査が最も優れています。ただし、小さな腫瘍を探す場合には、造影剤を使用した造影MRI検査が必要になります。MRI検査はほとんどの医療機関が予約制ですので、一度受診した後に検査日を決めて再受診して頂くことになります。これは放射線科が専門ですが、検査の申込はどの科の外来でも受け付けています(当院では患者さんから放射線科への直接の申込みには対応していません)。
その他にも、「不妊」などの場合は産婦人科、「小児の成長や発達」の場合は小児科が、それぞれ専門です。
検査の結果で、「治療が必要かどうか、必要であればどの治療法が良いか」を各科の医師と相談して決めていきます。
医療関係者の方へ
当科では、主に下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫などの腫瘍性疾患の外科治療をおこなっています。
● 手術では、「内視鏡下での経鼻的蝶形骨洞手術」をはじめ、疾患に応じ「経頭蓋的な内視鏡手術」や「各種アプローチによる開頭術」が可能です。
● 診断では、各種負荷試験などは当院の内分泌代謝内科医の、放射線学的診断は放射線科医の指導・協力のもと診断を確定しています。また「Cushing病に対する海綿静脈洞・静脈血サンプリング」などの侵襲的検査も施行可能です。
● 機能性腺腫に対する薬物治療は、主に内分泌代謝内科医に依頼しています。術後のホルモン補充療法等は当科でも行っていますが、「成人成長ホルモン低下症」の診断および治療は内分泌代謝内科に依頼しています。
● 放射線治療は、放射線科医に依頼しています。当院では、「Linacを用いたRadiosurgeryおよび分割定位照射」が可能です(「ガンマナイフ」の設備はありません)。
● 「セカンド・オピニオン」にも対応しています(セカンド・オピニオンの場合、当科での治療はご遠慮させて頂きます)。
● 年2回(春と秋)、当院の内分泌代謝内科・放射線科および各関連病院と合同で「筑後下垂体疾患研究会」を開催しています。参加ご希望の先生には案内を送らせて頂きますので、当科医局までご連絡下さい。
